テントウムシとアブラムシ


捕食するアブラムシの量
1齢幼虫 21
2齢幼虫 68
3齢幼虫 213
4齢幼虫 854

 ナナホシテントウムシのところで、このテントウムシの幼虫が捕食するアブラムシの数を調べた人がいたと書きましたが、この作業は、やってみると、とても大変であることがすぐ分かります。生物学というのは、こういう地味な研究をやっている人たちによって支えられて研究が進むわけです。
 もう一度、表にしておきましょう(左の表)。
 さて、左の表のデータをそのままグラフにしてみましょう。アゲハの例でもあったように、図1.のような曲線が得られます。
 この図から分かることは、蛹化する直前の4齢幼虫では捕食するアブラムシの量が極端に増えていることぐらいです。このグラフの中に、何か情報が隠されているのでしょうか。


 図1.をよく眺めてみると、1齢より2齢、2齢より3齢というように終齢に近づくにつれてその勾配がどんどん増えています。  そこで、このグラフの縦軸を対数目盛で表してみました。それが図2.です。これだと、ほとんど直線になってしまいます。さらに、このグラフの直線の式を求めて見ましょう。 y=5.9×e1.2x となります。ただし、ここでyは捕食されるアブラムシの数、xは何齢かを示します。


図1.真数グラフ


図2.片対数グラフ



 これによると、

1齢では捕食される数(y)は y1=5.9×e1.2×1
2齢では捕食される数(y)は y2=5.9×e1.2×2=3.3×y1
3齢では捕食される数(y)は y3=5.9×e1.2×3=3.3×y2
4齢では捕食される数(y)は y4=5.9×e1.2×4=3.3×y3
ただし、e1.2=3.3
となり、1齢上がるごとに、捕食量が3.3倍になるということが分かります。なお、y1、y2などは、それぞれ1齢あるいは2齢で捕食されるアブラムシの数を示します。

 1齢上がるごとに捕食量が3.3倍ということは、胃袋の大きさが3.3倍になる、つまり体積が3.3倍になるということですから、その3乗根は長さになります。1齢上がるごとにほぼ3.3の3乗根=1.5倍ずつ大きくなるということになります。こう簡単にはいきませんが、おおよその見当はつけられるでしょう。

 また、捕食されるアブラムシの数と何齢幼虫かが分かれば、テントウムシを飼育する際に餌の量を管理することが簡単に出来そうですね。観察などで苦労して得たデータは、ちょっと工夫して、もっと活かして使いましょう。というのも、どんな情報が隠れているか分からないからです。
テントウムシ
 まだ、一般化はできませんが、アゲハとテントウムシの例では、

     
y=aebx
     

ただし、yは捕食量
aはその虫特有の定数
eは1齢で大きくなる胃袋の大きさ(倍率)
xは何齢かを表す

で表せそうです。多くの例が集まれば、定数や胃袋の大きさ(倍率)などは、昆虫ごとに数量化できるかもしれませんね。
グラフの書き方についてはここもご覧下さい。