アオバアリガタハネカクシ


 森村誠一の小説「悪しき星座」に「・・・被害者の鼻の下から顎にかけてのみみず腫れはある種の甲虫の毒による線状皮膚炎・・・」というのが出てきます。これが小説にも登場してくる「青翅蟻形隠翅虫」、すなわち「アオバアリガタハネカクシ」なのです。
 下の写真をご覧下さい。我が家の庭で草取りをしていたときに見つけたものです。これがはでな色の体で、毒があることを知らせている「アオバ・アリガタ・ハネカクシ」です。灯火に集まって来ているところを見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
 この虫は、潰して体液に触れると皮膚が腫れますが、体長が7mmぐらいの小型の虫で、体も細いので注意していないと気がつかないことがあります。知らずに首筋に止まったところをぴしゃりと叩くと大変なことになります。
 子供時代には、「この虫の体液が目に入ると失明する」とか、「ネズミもこの虫の毒でコロリと死んでしまう」とずいぶん脅かされたものです。事実、ハツカネズミはこの虫0.02匹分で軽い痙攣(けいれん)を、また0.8匹分で死に至るといわれています。
 まるで道路標識のように、光沢感のある青と橙の部分が交互に並んでいます。
 「アオバアリガタハネカクシ」の名前は、「アオバ(青い翅をした)・アリガタ(アリの形をした)・ハネカクシ(後翅を隠した虫)」という意味です。青く光る上翅の下に発達した後翅を折りたたんで格納しています。
 この虫は肉食で、ウンカやアブラムシの幼虫などを食べており、3月から11月までほぼ通年、日本の何処ででも見られます。皮膚炎を起こすハネカクシは日本には7種類いますが、その中で最も知られているのが「アオバアリガタハネカクシ」です。
 毒虫に似合わず、七五調の句の中に織り込みたくなるような、なんとなく語呂のいい名前ですね。

我が家の庭のアオバアリガタハネカクシ(敦賀市古田刈:2005.5.15)